2026年9月2日
関係者各位
公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会
代表理事会長 町田幸男
第1 はじめに
公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会(以下「当協会」)は、当協会が2026年6月10日付で発出した「2026年スポーツクライミング日本代表選手選考および国際競技大会派遣選手選考基準」に関し、競技者より公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(JSAA)に対して申し立てられていた仲裁事案(JSAA-AP-2026-012号)について、2026年8月28日付で仲裁判断の告知を受け、また本日公表されたところであり、その内容および当協会の今後の対応についてご報告申し上げます。
当協会は、本仲裁判断を真摯かつ厳粛に受け止め、全選考対象選手、関係者の皆様、そしてスポーツクライミングを応援してくださるファンの皆様に、多大なご心配とご混乱をおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。
第2 仲裁判断の主文及び理由の要旨
1 仲裁判断の主文
(1)被申立人(当協会)が2026年6月10日付文書で行ったワールドクライミングシリーズ後半戦の日本代表選手選考基準を変更する決定を取り消す。
(2)仲裁申立料金55,000円は、被申立人(当協会)の負担とする。
2 判断理由の要旨
当該仲裁は、当協会が2026年6月10日付で作成した「2026年 スポーツクライミング日本代表選手選考および国際競技大会派遣選手選考基準」に関するものです。
具体的には、リード種目の「第5戦、第6戦(後半戦)」の優先順1の基準「前半戦に参加できていない前年世界ランキング10位以内から選出」という基準について、追記された「※4 前半戦に優先順3 ジャパンカップ上位選手から選出され出場した選手で、最終戦及び後半戦に優先順1 前年世界ランキングトップ10にも該当する選手がいた場合、後半戦は後半戦優先順1から選出され出場することができる。」というものについてです。
これについて、仲裁パネルは、上記※4の追記を含む2026年6月10日付の上記文書の発出は、選考基準の変更に該当するという判断を示しました。
そのうえで、仲裁パネルは、当該選考基準の変更については、著しく合理性を欠くものであり、取り消されるべきであるとの判断を示しました。
第3 仲裁決定を受けた当協会の対応
1 はじめに
上記仲裁決定を受け、当協会は、改めて、2026年1月8日に発表した選考基準と、仲裁判断において示された解釈に基づき、以下のとおり対応することを決定いたしました。
当協会の対応は、①仲裁判断の趣旨に従った選手選考、及び、②①に伴う選考選手の不足を受けた追加の選考基準の設定に分かれます。
以下、順に説明します。
2 仲裁判断の趣旨に従った選手選考
(1)リード種目について
リード種目について、「第5戦、第6戦(後半戦)」の優先順1の基準「前半戦に参加できていない前年世界ランキング10位以内から選出」の解釈については、「前半戦に参加できていない」という要件は、文字通り解釈します。
前半戦がどの優先順により選出されたか否かを問わず、前半戦に出場している以上は、同要件を満たさないという解釈を前提に選手を選考いたします。つまり、仮に、前半戦をジャパンカップ上位選手の枠で出場していたとしても、前半戦に出場している以上は、後半戦の優先順1の基準を満たさないということになります。
この解釈は、同じ文言が用いられている、後半戦の優先順4「前半戦に参加できていないジャパンカップ上位選手から国別枠を満たすまで選出」にも適用いたします。
(2)ボルダー種目について
ボルダー種目についても「前半戦に参加できていない」という文言が用いられている「第6戦(最終戦)」の優先順1及び3にも、上記解釈が適用されます。
3 選手不足を受けた追加の選考基準
仲裁判断に従った上記解釈に基づき選考を行った場合、リード種目の女子については、現状で国別枠に満たない数の選手しか選出できないことになります。
また、ボルダーについては、現状では上記基準で参加枠を満たせてはいますが、今後不測の事態により、参加枠に満たない選手しか選出できない可能性が残ります。
そのため、当協会は、追加で、以下の選考基準を追加することとしました。
ボルダー種目の第6戦(最終戦)の優先順4として、「ジャパンカップ上位選手から国別枠を満たすまで選出」を追加。
リード種目の第5戦、第6戦(後半戦)の優先順5として、「ジャパンカップ上位選手から国別枠を満たすまで選出」を追加。
同選考基準の追加については、新たな選考基準の変更になりますが、現状の選考基準に従った場合、国別枠を満たさない選手しか出場できないという事態が生じることになります。このような著しく不合理な結果を避けるために、やむを得ず、基準を追加する必要があるものと考え、決定をいたしました。
この追加の基準として、ジャパンカップ上位選手から順に選出することとしたのは、2026年1月8日の基準においても、「国別枠を満たすまで選出」するための基準がジャパンカップの成績とされていることから、ジャパンカップの成績を基準にすることがより従前の基準に親和的であると考えたためです。
上記内容を反映した選考基準の改定版については、下記のとおりです。
なお、この基準に基づいて出場する選手の発表については、大会までに行います。
第4 選手及び関係者へのお詫び
今回の選考基準を巡る一連の問題は、当協会の選考基準が不明確であったということに尽きます。
当協会は、仲裁の申立人の競技者を含め、全ての選手・関係者に対し、仲裁手続の申立てを理由とした一切の不利益取扱を行わないことは勿論のこと、今回の一連の問題により影響を受けた全ての選手・関係者に対する丁寧な対話とケアを行うことを改めて誓約いたします。
さらに、選手及び関係者に多大なるご迷惑をおかけしたことについて深くお詫び申し上げるとともに、今後二度とこのような事態を生じさせないように再発防止策の策定に取り組むことを併せて誓約いたします。

