大会のみどころ

2020年東京オリンピックへの追加競技に決まったスポーツクライミングの1種目であるボルダリングのワールドカップ(W杯)が昨年に続き今年も日本で開催される。

今大会は過去2回開催された加須からオリンピックの舞台にもなる東京へと開催地を移す。

現在男女ともに世界トップレベルの選手が多い日本代表の活躍、そして普段はなかなか見ることのできない海外選手たちの登りを是非会場でご覧いただきたい。

女子選手

大本命ショウナ・コクシーを超える選手はあらわれるか

2016年W杯年間1位、イギリスのショウナ・コクシーはどんなタイプの課題にも対応できるフィジカルとテクニックを持っている。優勝した昨年の加須大会同様に今大会でも安定感抜群の登りを見せてくれるだろう。
スロベニアの18歳、ヤンヤ・ガンブレットは今大会最大の注目選手だろう。ボルダリング種目のW杯初参加の昨年は2大会のみの出場だったが今年から本格的に参加。早速第2戦重慶大会(中国)で初優勝。勢いのある登りが魅力的だ。リード種目では昨年W杯年間1位を獲得している。
昨年行われた世界選手権をパワフルな登りで制したスイスのペトラ・クリングラー、W杯年間1位を4度獲得しているオーストリアのアンナ・ストール、昨年から着実に力をつけてきているセルビアのスターシャ・ゲージョにも注目したい。

日本代表では野口啓代野中生萌に注目だろう。
過去4度W杯年間1位を獲得している野口。その素晴らしい登りは多くのクライマーがお手本にしている。課題の傾向が変わったり選手の入れ替わりが多いW杯で長年トップクラスにいるのは常に進化を続けている証しだ。
昨年W杯初優勝、そしてW杯年間2位と大躍進の年になった野中。3位だった昨年の加須大会では、会場を大いに盛り上げてくれた。力強くしなやかな登りを今大会でも見せてほしい。

さらに、国内大会で安定した結果を残しW杯出場経験も多い小武芽生、2015年ボルダリングジャパンカップ優勝の田嶋あいか、リード種目のW杯で優勝経験がある小田桃花、ユース時代、そして結婚し、母となった現在も活躍を続ける渡辺沙亜里にも注目したい。

2017年ボルダリングジャパンカップ優勝の伊藤ふたばは年齢がW杯参加資格(満16歳)に満たないため残念ながら出場しない。

男子選手

大激戦!有力選手でも予選突破困難。誰が優勝するかは予測不能

2016年W杯年間1位、そして世界選手権を制した日本の楢崎智亜は鍛え上げたフィジカルを駆使したキレのある登りで見るものを興奮させてくれる。今大会でも間違いなく場内を沸かせてくれるだろう。
2017年ボルダリングジャパンカップ優勝、2016年W杯年間2位、日本の藤井快は安定感のある登りと大一番での勝負強さを持った選手だ。是非決勝の舞台で素晴らしい登りを見せてもらいたい。
2015年W杯年間1位、韓国のチョン・ジョンウォンは調子に波があるがハマればどんな課題も簡単そうに登ってしまう。今大会でもそんなシーンを見せてもらいたい。
ロシアのアレクセイ・ルブツォフは2009年世界選手権優勝後は低迷していた時期もあったが昨年完全復活。見事にW杯年間3位を獲得した。粘り強い登りが持ち味だ。

2016年の加須大会で優勝しているロシアのルスタン・ゲルマノフ、岩場で多くの高難度課題を登っているアメリカのダニエル・ウッズ、今年活躍しているドイツの若手ダーフィット・フェルネンブルグ、ダイナミックな課題を得意としているフランスのマニュエル・コルヌ、リード種目でも活躍するカナダのショーン・マッコールにも注目したい。

楢崎、藤井以外の日本代表では杉本怜渡部圭太に注目だろう。
昨年肩の手術を行い今年復帰した杉本は初戦マイリンゲン大会(スイス)で以前と変わらぬ力強い登りを見せて第4位。まだ肩には若干の不安があるようだが再びトップに立つのは時間の問題だろう。
2015年からW杯に参加している渡部は今年の初戦マイリンゲン大会(スイス)で自身初の決勝進出。さらに決勝ではスラブ課題を唯一完登するなどの活躍を見せ第3位。続く第2戦重慶大会(中国)でも第4位。非常に安定感があり今大会でも活躍が期待される。

さらに世界ユース選手権で優勝経験のある緒方良行、2017年ボルダリングジャパンカップ第3位の波田悠貴、長年この競技を引っ張ってきている堀創にも注目したい。

文: 松田良