ホーム > お知らせ > 2016年 > 第2回日本ユース選手権ボルダリング競技大会が開催されました

第2回日本ユース選手権ボルダリング競技大会が開催されました

5月14日〜15日の日程で、第2回日本ユース選手権ボルダリング競技大会が開催されました。

今回で2回目となる今大会は、IFSC主催の世界ユース選手権に2015年からボルダリング種目が追加されることを受け、同大会へ派遣する日本代表選手の選考大会として始まりました。今大会の参加資格は1997年〜2004年生まれで、2016年度日本山岳協会選手登録をしている者となっており、最終的な参加者は昨年の189名から33名増え、222名となりました。大会の注目度が上がっていること、ユース世代のボルダリング競技者の増加などから、今後も参加者の増加は続くと思われます。

また、今大会と同日程でに開催されていたIFSC クライミング・ワールドカップ (B) ナビムンバイ 2016で、第1回大会ジュニア女子優勝の野中 生萌がワールドカップ初優勝を飾り、ジュニア男子優勝の楢崎 智亜が2位に輝いています。このことからも今大会のレベルの高さが伺えます。

今大会の特徴として、予選は8つのボルダーが用意され、他の選手のアテンプト(トライ)を観察することが出来て、1つのボルダーに対して5回までしかアテンプトを行うことが出来ないコンテスト方式が採用されています。これは通常の国際大会等で採用されているベルトコンベア方式とは違い、回数が制限されているために闇雲にアテンプトを重ねることが出来なかったり、現時点での予選通過ラインがわかっているので駆け引きが必要となったり、通常とは違った戦略が必要となります。順位は完登数、完登に要したの合計アテンプト数、ボーナス数、ボーナス獲得に要した合計アテンプト数の順で競います。完登数が同等の場合はボーナス数よりも完登に要したアテンプト数が重要になるため、無駄なアテンプトを控えなければなりません。決勝はボルダリングジャパンカップやIFSCクライミングワールドカップなどと同じくオンサイト方式(3課題)で行われます。

ジュニア

© Miwako Kubota

男子

ジュニア男子は前述の楢崎智亜がユースを卒業した後、だれが後に続くのか注目された中での戦いとなりました。

予選は、7完登の選手が3〜8位まで並びましたが、完登のアテンプト数が10以下の選手までが決勝進出となりました。決勝に進んだ上位6名が7〜8完登と混戦のまま決勝へと進みました。

決勝は、直前に行われたユースAと同様の課題が使用されましたが、ユースAの結果を見て課題が難しすぎたと判断したルートセッター達によりジュニア決勝開始前に調整が行われました。1課題目のスラブ課題は4名が完登しましたが、4番手で出てきた亀山凌平が冷静な読みと冷静な判断力で唯一フラッシュに成功。2課題目、3課題目は完登者が出なかったため、結果的にはこの1課題目の完登のみで亀山が優勝を決めました。亀山は公式大会での初優勝となります。

© Miwako Kubota

順位 予選順位 名前 都道府県 完登 ボーナス
1 3 亀山 凌平 岐阜県 1 (1) 2 (4)
2 6 山内 響 岩手県 1 (2) 3 (7)
3 4 大髙 伽弥 東京都 1 (2) 2 (7)
4 2 武者 知希 北海道 1 (2) 2 (9)
5 5 波田 悠貴 埼玉県 0 (0) 2 (2)
6 1 野村 真一郎 神奈川県 0 (0) 1 (3)

女子

© Miwako Kubota

女子は、昨年予選決勝と圧倒的な力を見せつけ優勝した野中生萌がIFSCクライミングワールドカップへ参加するため不在となっている中での戦いとなりました。

予選は、昨年のボルダリングジャパンカップを制した田嶋あいかが唯一の7完登で首位、大河内芹香が6完登で2位と続きましたが、3位以下の選手は4完登と差がある状態で決勝へと進みました。

決勝は、1課題目、2課題目で完登者が出なかったため、決着は最終課題に持ち込まれました。最終課題は4名の完登者が出ましたが、田嶋、大河内の2名が冷静にフラッシュ。1課題目、2課題目のボーナス数も同等だったので、ボーナスのアテンプト合計数が田嶋の8に対して大河内が7と、僅差で大河内の優勝が決まりました。大河内も公式大会での優勝は初めてとなります。

順位 予選順位 名前 都道府県 完登 ボーナス
1 2 大河内 芹香 長崎県 1 (1) 3 (8)
2 1 田嶋 あいか 三重県 1 (1) 3 (9)
3 3 木下 茜 長崎県 1 (3) 2 (4)
4 6 中村 祐香梨 静岡県 1 (4) 2 (3)
5 4 錦織 美里 広島県 0 (0) 2 (2)
6 5 義村 萌 三重県 0 (0) 2 (2)

ユースA

© Miwako Kubota

男子

© Miwako Kubota

ユースA男子は、全カテゴリーの中で最も多い44名が参加しました。中でも昨年のユースA男子優勝の原田海、最近勢いのある楢崎明智の戦いが注目されました。

予選は、6完登が予選通過ラインとなりました。楢崎は8課題全てを完登、原田は7完登8ボーナスと上位で予選を通過しました。

決勝は、ルートセッター達が、予選を全完登するなど最近力をつけている同カテゴリーの選手達を警戒しすぎたのか難易度が非常に高くなっており、全ての課題で完登者が一人も出ないという我慢を強いられる展開になりました。そんな中で2課題目のスタートから距離のあるホールドへ飛ぶランジを唯一止めた原田が2ボーナスで優勝しました。原田は昨年に続き2大会連続でのユースA男子優勝となり、来年からはジュニアでの参加となります。

順位 予選順位 名前 都道府県 完登 ボーナス
1 2 原田 海 大阪府 0 (0) 2 (7)
2 1 楢崎 明智 栃木県 0 (0) 1 (1)
3 3 中村 颯人 埼玉県 0 (0) 1 (1)
4 6 土肥 圭太 神奈川県 0 (0) 1 (4)
5 4 中上 太斗 福岡県 0 (0) 1 (5)
6 5 今泉 結太 茨城県 0 (0) 0 (0)

女子

© Miwako Kubota

女子は、昨年のボルダリングジャパンカップで2位になった戸田萌希や、昨年のIFSCクライミング・アジアユース選手権ボルダリングでユースA女子2位の高田こころ、ユースB女子優勝の中村真緒などが注目されました。

予選は、実力者が順当に駒を進めましたが、中でも戸田が非常に良い動きを見せ、2位に差をつけてのトップ通過を果たしました。

決勝では、予選をトップ通過した戸田が1課題目、2課題目をフラッシュし、2課題目終了時点で優勝を決めました。中でも1課題目は年齢が上のクラスであるジュニア女子で完登が出なかった課題になります。逆に中村と高田が完登した3課題目を、戸田は完登出来ず、早々に優勝を決めたものの、結果の数字だけ見ると僅差での優勝となりました。

順位 予選順位 名前 都道府県 完登 ボーナス
1 1 戸田 萌希 山梨県 2 (2) 2 (2)
2 3 中村 真緒 東京都 2 (4) 2 (3)
3 2 高田 こころ 鳥取県 1 (1) 3 (9)
4 4 古川 日南子 鳥取県 0 (0) 2 (6)
5 5 倉 菜々子 愛知県 0 (0) 1 (1)
6 6 菊沢 絢 千葉県 0 (0) 1 (1)

ユースB

© Miwako Kubota

男子

© Miwako Kubota

ユースB男子は、昨年のIFSCクライミング・アジアユース選手権ボルダリングでユースC男子優勝の西田秀聖、昨年の同大会でユースC男子2位の野中凜がカテゴリーを上げてどこまで通用するかが注目されました。

予選は、小西桂が6完登に加え全課題でボーナスを獲得して決勝へと進みましたが、予選の数字だけを見ると決勝では誰が勝つか全くわからない状況でした。

決勝は、1課題目を小西と靏本の2名が完登しましたが、2課題目が誰も登れなかったため、勝負の行方は3課題目に持ち越されました。結果的に3課題目は一番難易度が低く、全員が完登したため1課題目のフラッシュが効いて、3課題目を3アテンプトで完登した小西が靏本を押えて優勝しました。

順位 予選順位 名前 都道府県 完登 ボーナス
1 1 小西 桂 神奈川県 2 (4) 2 (4)
2 4 靏本 直生 佐賀県 2 (6) 2 (4)
3 6 雪丸 周平 福岡県 1 (1) 1 (1)
4 3 野中 凜 愛知県 1 (3) 1 (3)
5 5 西田 秀聖 奈良県 1 (3) 1 (3)
6 2 高雄 凌央 滋賀県 1 (4) 1 (4)

女子

© Miwako Kubota

女子は、何といっても今年のボルダリングジャパンカップで第4位に入った伊藤ふたばに注目が集まります。昨年大会のユースCで優勝し、今年からはユースBに移っての参加となりました。しかし、このカテゴリーには伊藤の他にも昨年のIFSCクライミング・アジアユース選手権のユースCで2位に入った菊地咲希や、同大会ユースBに入った3位の樋口結花など強力なライバルがいます。

予選は、下馬評通りに伊藤ふたばが実力を発揮し、ただ一人の全完登で2位の曽我綾乃に2完登の差をつけ予選を突破しました。

決勝は、1課題目を3アテンプト目で曽我が、2課題目を2アテンプト目で菊地が唯一完登し、1完登が2名という状況で3課題目へと進みました。3課題目はかなり難しく、結果的にはボーナスを止められたのも菊地だけで、2課題目完登のアテンプト数が効いて優勝しました。1完登の曽我が2位となり、伊藤は3位に終わりました。

順位 予選順位 名前 都道府県 完登 ボーナス
1 3 菊地 咲希 東京都 1 (2) 3 (15)
2 2 曽我 綾乃 埼玉県 1 (3) 2 (2)
3 1 伊藤 ふたば 岩手県 0 (0) 2 (2)
4 4 平野 夏海 東京都 0 (0) 2 (3)
5 5 栗田 湖有 新潟県 0 (0) 2 (3)
6 6 樋口 結花 佐賀県 0 (0) 2 (11)

ユースC

© Miwako Kubota

男子

© Miwako Kubota

ユースC男子は、2003〜2004年生まれと非常に若いため短期間で実力が変わり、だれが勝つかわからない年代でもあります。また、世界ユース選手権でもユースCというカテゴリーはまだない(ジュニア〜ユースBまで)ため、代表選考にはつながりません。

予選は、田中裕也、川又玲瑛の2名が7完登のトップで予選を通過しました。予選通過ラインは5完登12アテンプトと、7位の5完登13アテンプトとは本当にわずかな差で明暗が分かれました。

決勝は、他の選手が苦しんだ2課題目をフラッシュするなど、格の違いを感じさせるクライミングで川又が全完登し、優勝となりました。高山優槻も全課題を完登したが、アテンプト数の差で2位となりました。

順位 予選順位 名前 都道府県 完登 ボーナス
1 2 川又 玲瑛 栃木県 3 (5) 3 (5)
2 5 高山 優槻 茨城県 3 (11) 3 (5)
3 4 抜井 亮瑛 奈良県 2 (5) 3 (6)
4 3 前田 健太郎 滋賀県 2 (6) 3 (7)
5 1 田中 裕也 岐阜県 1 (2) 3 (5)
6 6 黒木 陽 宮崎県 1 (2) 2 (5)

女子

© Miwako Kubota

女子は、今年のボルダリングジャパンカップで11位、12位と二人とも12歳にして準決勝へと駒を進めた森秋彩と工藤花の対決に注目が集まります。

予選は、出だしが遅れたように見えた森が徐々に力を発揮、気づけば定位置の1位で予選を通過しました。一方の工藤はボーナス数こそ森と並んだがあと一歩完登が伸びず、5位で予選を通過しました。

決勝は、森が1課題目、2課題目を連続でフラッシュ。3課題目は誰も登れなかったため、そのまま森が優勝しました。2位には工藤が入りましたが、3位の谷井菜月とは完登のアテンプト差がわずかに1と本当に僅差でした

順位 予選順位 名前 都道府県 完登 ボーナス
1 1 森 秋彩 茨城県 2 (2) 3 (3)
2 2 工藤 花 山形県 2 (3) 3 (6)
3 5 谷井 菜月 奈良県 2 (4) 3 (6)
4 4 青栁 未愛 東京都 1 (1) 3 (10)
5 3 松藤 藍夢 神奈川県 1 (4) 1 (4)
6 6 岩本 岬 東京都 0 (0) 1 (2)

関連リンク